笑うチャイナ

10ねんに亘る中国駐在経験をもとに、おもしろおかしい中国人の生態を描きます

中国人とは㉟  EUROな中国 平均化できないマーケット

皆さんが日本でメディアを通してみる「中国の人」のイメージはどのようなものでしょうか?

 

私たちが実際に現地で過ごして感じることは、中国というのは国としてひとつのくくりにはなっているものの「こう!」と明確に言うのがとても難しい国だということです。

広大な国土を持つ中国。それこそ地球上のあらゆる気候、地質の差異を網羅しています。

広大な砂漠あり、山脈あり、平地あり、海あり。悠久の歴史の中であらゆる民族が交流を重ねてきた国なので、同じ中国人でも東西南北の端にいる人は、骨格レベル、行動・思考レベルで根本から異なる、と見ておいたほうが良いでしょう。

 

多民族国家の中国は政府が認定している民族が56あり、人口の94%が漢族、その他の55民族が少数民族です。「とはいっても、ほとんど同じ漢族じゃないですか」と思ったら大間違い。

 

同じ漢族でも地域によって考え方性格、味覚も全然違います。

 

例えば、地域ごとに方言が存在しますが「そうですね」と「そやな」どころの違いではなく、もう全く会話は成立しない程発音がかけ離れています。

また、同じ地域にいる人であっても、家族の背景や風習、収入などの違いが激しく、マーケットの平均化は一応してみるものの実態はなかなか掴めないため、常に試行錯誤を繰り替えす事が前提となります。

 

EURO圏くらいの地域差があると思っていたほうがよさそうです。

中国全土でビジネスをされる場合、少しでも余裕があれば面倒がらずに全国各地域に実際に赴き、その地域と人物、文化風習を肌で感じることが大切です。

 

   

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中国人とは㉞ やめる言い訳は大体が家族の病気

中国では一つの会社に留まらず、どんどん転職を繰返してキャリアアップしていくのが主流です。

年功序列的な要素も多少はありますが、日本でいうところの外資系の雇用形態がほぼ主流。日本企業は人材を採用した後、育成しながらかつ自分の会社に長くいてもらう方法に腐心しています。

 

ローカル社員が会社をやめる際、「この会社にいたくありません」、「他にやりたい仕事が見つかりました」「〇〇社からもっといい条件で話がきました」とは面と向かって言ってきません。

 

ほとんどがこちらから断りづらい内容をあらかじめ準備してきます。

 

それは“身内の不幸”

「母の看病が大変で」「兄が事故にあって」「恋人が単身赴任になって、ついて来いと言われた」など、極めて突っ込みづらい退職事由を提示してきます。

 

「ほんとは母ちゃんピンピンしてんだろ?」とは決して言えません。

去り際に小ウソつくなよ!と思ってしまいますが、向こうは向こうでカドが立たないように、穏便に(かつ確実に)退職したいという配慮を効かせているつもりなのです

 

これら常套句は中国の「退職マニュアル」に書いてあるのではないか?と思うくらい非常に多く出てきます。

 

問題はいまの職場環境が原因で会社を去ってしまうような場合、本当の理由を言ってくれないので、自社に原因があってもなかなか問題が見えてこない事。

 

退職する本当の理由を根堀り葉堀り聞いても意味がないので、

やめる動機についてはあまり突っ込まずに一度受け入れ、

「今後この会社が良くなるために働いた感想を参考までに聞かせてください」など

後日質問を変えて、本音を引き出してみましょう

 

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中国人とは㉝ 問題が起こったら黙らずに正当性を徹底主張

日本人は奥ゆかしさ、恥の文化を持っているため、何かいいがかりを付けられると「男はだまって」「背中で見せてやる」など黙々と自分の信じた道をひた走る姿勢が、美学としてもてはやされる傾向にあります。

 

しかし中国ではこれはまったく尊敬されず、むしろ「何も言わないってことは、やっぱりあいつは怪しいな」とますます不信感を持たれてしまうでしょう。

 

中国では謂れのない言いがかりを付けられた時には、

まずはっきりと「私はやっておりません!」と宣言、しっかり主張をする事がとても大事です。

 

これは個人間のトラブルであっても企業間のトラブルであっても同じです。

これは必ずしも中国だけのケースでもなく、世界全体でみても自己主張性をしっかりする事が尊ばれます

 

日本に長く住んでいる私達はどうしても「あうん」のコミュニケーションが染み付いていますが、

残念ながらこればっかりは「日本の常識、世界の非常識」の典型、と言えそうです。

 

とにかく相手の懐に飛び込んでしっかりコミュニケーションする、という万国共通の対応を恐れずに実行する事につきると思います。

 

 

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中国人とは㉜ ムダに服務員が多いレストラン

「籠に乗る人、担ぐ人、そのまたわらじを作る人」

 

中国のレストランには服務員、つまりウエイター、ウエイトレスがたくさんいます。

日本のレストランの2倍、下手すれば3倍ぐらいの人が待機しています。

 

「これだけ服務員が多いなんて、さぞサービスが手厚いのかな」と思いきや、

とんでもありません。

 

なんと彼ら服務員は“一人一役”

 

お茶を淹れる人、テーブルセッティングをする人、注文をとる人、できた料理を運ぶ人、全体を管理する人に分かれているのです。

 

彼らは自分の役割に対して実に忠実であり、役割以外お願いについては門外漢、平気で無視されたり、足早に逃げていったりします。

 

こうなるとむしろそこにいるだけに余計に腹が立ち、イライラする原因になります。

 

早くリクエストを聞いてほしい時は、服務員を束ねているスーツを着た経理の女性(チーフとでもいうのでしょうか?)を探して、

彼女に声をかけ色々御願いすると、周囲に指示を出してくれるので多少は対応力があがります。

 

もしその経理が怠け者だった場合は・・・

もうお茶でもすすって時を待つしかないのですが、そのすするお茶もちゃんと持ってきてくれるのかどうか分からないところが、なんともツライところです。

 

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中国人とは㉛ めいうぇんてぃは問題だらけ

めいうぇんてぃ没問題)!』=『問題ない!大丈夫!

の意味。

 

業務の進行や内容についての心配事をローカル社員の部下に確認した時、

「没問題!」ときっぱり断言されると、

繊細で心配性の日本人ビジネスマンは、「そうか、大丈夫か!」と、とても心強く感じます

 

しかし、翌日もその翌日も、ただ繰返される「没問題か?」「没問題です!」のやりとり。

 

具体的な進捗の報告がいつまで経ってもない事に業を煮やし、

進捗チェックの会議を開いて報告させてみると、

実際には仕事が止まっていて問題だらけ、なんていうケースが良くあります。

 

これまで部下の教育について性善説から入っていた人も、ここで一気に性悪説モードに

 

「もし期日になっても仕上がってなかったら、どうなるか覚えとけよ!」と凄んだりするのですが、

こちらの怒りを「ヤバイ」と感じ取ると、

日本人も驚くほどの暴力的な追い込み仕事を開始し、

期日には依頼品がバッチリ出来上がっている、なんていう場合もあります。

 

ごく稀に、ですけど

 

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中国人とは㉚ 耳栓が欠かせない飛行機の機内

日々激務をこなしながら迎える中国国内出張。

本社経費削減の折、もちろんエコノミークラスを利用してのフライトになりますが、

そこに待ち受けているのは、おじさんおばさんのぺちゃくちゃトーク

 

はっきり言って、赤ちゃんの泣き声よりもうるさい。

ここ数年の近代化により、北京発、上海発の便はすこし静かな人も出てきておりますが、それ以外はまるで、修学旅行の中学生達と一緒に乗っているように、非常に機内が騒がしくなります。

 

また飛び立った後は皆安全ベルトを外してウロウロ。

友人同士が固まりになり、お約束のポーカーゲームがはじまります。

 

機内で練ろうと思っていた仕事の構想は全く練れず、あきらめて横になっても眠れず、もんもんと過ごす数時間

 

中国国内線を利用する時は、快適な空の旅を実現するために完全防音ヘッドホンを用意し、ハイテンションの音楽を聴いてやり過ごしましょう。

あるいは強めの睡眠薬で一気に寝てしまうのもありかもしれません。

 

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中国人とは㉙ またたく間にできあがる建築物

私がいた頃の中国は好景気に沸き、大都市ではそこらじゅうで新しい建築物がバンバン建っていました。

 

高層マンション、オフィスビル、ショッピングモール、ホテル、橋、高速道路・・・。

同時多発的に建設が進み、古い建物は一瞬のうちに破壊され、あたかも街を一から作り直しているように見えます。

 

高層ビルは「ワンフロアが一週間で出来上がる」という都市伝説があるほどの突貫工事で、

日本ではありえないと思いますが、作業はほぼ24間体制で進められ、深夜に建設中のビルを眺めるとそこらじゅうで溶接の火花が煌々と散り、寝ていてもクレーンで鉄筋を降ろす「ドーン」という音が数時間感覚で響いています。

 

数年前に駐在でやってきた時、その都市一番の繁華街に住んでいたはずが、わずか2~3年で街のランドマークと中心部が変わってしまい、ちょっと引越ししたくなる・・・。

 

北京、上海ではそこまでドラスティックではないものの、

広州や成都、内陸で成長中の新興都市では数年で街の景観が驚くほどの変貌を遂げます。今の日本ではなかなか考えられない事ですね。

 

乱暴だけど、うらやましい・・・。

 

      

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