中国人とは㉕ 必要なのは鈍感力
中国でのビジネスは、日本の常識では考えられないような事が次々に起こり、驚きとため息の日々が続きます。
繊細で生真面目な日本人は、最初に中国人の想定外の行動に戸惑い、時に怒りも覚えながら「日本ではね!」と日本式の説教教育を試みたりもします。
しかし彼らの溢れんばかりのわんぱくエネルギーに触れ続け、親会社と合弁会社に挟まれたりしながら死闘を演じているうちに
「俺たち日本人のほうが非常識かな?」とか
「結局彼らの国の事だから、彼らに任せて腹くくるか」と理解や寛容が生まれはじめ、
最終的には「ポイントだけ守ってくれたら後の細かい事はもう任せる」
「何かあったら俺が責任を取る」とローカル社員に言い切るまでに貫禄が出てきます。
中国ビジネスの厳しい前線から帰ってきた人たちは、
目に力は宿っているものの、瞳の奥は軽く濁っている
という、えもいわれぬドスの効いたオーラを醸し出しており、
日本で行われる人材トレーニングなど生ぬるい!と感じられるような鈍感力が身についているのです。
中国人とは㉔ 白酒(バイジュー)は周囲の人に飲ませてナンボ
白酒(中国語でバイジュー)は、コーリャンという穀物を原料とした蒸留酒。
馴染みのない方も多いと思いますが、ウォッカやテキーラのような味わいがあります。
アルコール度数は36~52度まであり、食前酒のような杯を用いて早いピッチで干杯(杯を干す=イッキ)をくり返します。
中国の宴席では円卓を大勢で囲み「この素晴らしい出会いに・・・」などと
口上を垂れつつ、隙あらば、皆何とかして接待相手を飲まそうと仕掛けてきます。
ここで「なんて義理に厚い人たちだ!」とガチンコの対応をすると、
あっという間に皆から飲まされまくり、涅槃の地へ旅立ってしまいます。
中国人との宴席では、できるだけ多くの日本人駐在員と一緒に同席し、「数的優位」を保つことが重要です。
特に管理職、役職者は接待になると即座に「キーマン」としてロックオンがかかります。
酒量を考慮しつつですが、時には部下を「飲む盾」として巻き込み、チームプレーで切り抜けるようにしましょう。
(それでもつぶれる時はつぶれますが。)
中国人とは㉓ 農民もケータイ片手にお仕事
広西省チワン自治区のある農村に調査にいった時の話。
車で道なき道を走り、4時間も過ぎると、まるで数十年前の日本にタイムスリップしたかのような農村が現れます。
家の壁はボロボロ、水牛が道端に糞を落としながらトボトボ歩いている・・・。
ぱっと見は「やっぱり中国の農村は発展してないなぁ」という印象です。
しかし良く見るとそのボロボロの家にパラボラアンテナがついていたり、
家の一階はボロボロの旧家なのに、二階に上がるとタイル張りで豪華なソファや50型以上の薄型TVが置いてあったり、意外に豊かな暮らしをしている事に驚きます。
私達の出あった農家の人は、調査中、時折携帯を手にしながら、友達と会話したり、野菜の予約注文を受けており、
借金で買った日本で言う軽のサンバーのような商用車で1回5元で近くの農民を市場に連れて行ったりしてました。
「中国の農村にも変化の波が押し寄せてるなぁ」としみじみ感じました。
世界中から先進の技術が順不同で怒涛のように入ってくるなかで起こる中国の変化は
日本とは全く異なるものであり、こまめに現場を見ながら生活者の変化を注意深く見ていくことはとても重要だと感じます。
中国人とは㉒ 抜かれたら抜き返す!の運転手
最近北京や上海などの大都市では、多少ドライバーが交通ルールを守ろうとする気運も見られますが、基本的に中国のドライバーは運転が荒い。
それはまるで子供に車という大きなオモチャを与えたようなものであり、
暴走、無謀な割り込み、逆走などはまだまだ日常的に遭遇する出来事です。
この乱暴な運転は一般ドライバーやタクシーだけでなく、会社が雇っている社用車のドライバーも例外ではありません。
出張でやってきた本社のVIPを乗せても、お構いなしにスピードを出し、網の目をくぐるように他の車をかわして疾走、肝を冷やす事もしばしば。
一方ドライバーはスピードを出しながら、しかし滑らかに他の車をかわして運転している自分を「出来るドライバー」と思っているので、気にも留めません。
そして自分が運転している車より排気量やサイズが小さい車に抜かれたりしたらもう大変!
後にVIPが乗っていてもお構いなし、キャノンボールよろしく果敢にアクセルを踏み込み、抜き返しにかかります。
駐在先でドライバーを雇う際は、彼らの安全運転教育もお重要な仕事といえるでしょう。
中国人とは㉑ ニーハオトイレ今は昔
中国のトイレ事情、皆さんはご存知でしょうか?
「中国ってトイレに塀がなくって、用を足している時お互いの顔を見ながら、
『ニーハオ!』 って挨拶できるんでしょ?」という話題、
一度は聞いた事があると思います。
「ニーハオトイレ」はプライバシーと恥の文化を併せ持つ日本人にとって踏み絵のような所業ですね。
しかし実際のところ、中国トイレ事情はかなり進んでいます。
ある程度の都市なら街中の百貨店や食堂はほとんど個室の和式風トイレ。
空港やホテルなどは洋式が主流で、キレイなトイレも増えつつあります。
中国のトイレの弱点は「水力」。
流す水の勢いが弱くて詰まりやすいので、
用を足したらまず一流し、
紙で拭いてまた流すの「二段流し」が安心でしょう。
またトイレ設備が進歩しても、トイレマナーの方はまだまだで、
便座に足をかけて用を足す人がいたり、
便器からオシッコを豪快に外す人がいたりで、
汚れている事が多いです。
飲みすぎてトイレで吐く時は、くれぐれも便器に手をつけたりしないよう注意したいところです。
また内陸の小都市ではまだまだ爽やかな挨拶が交わせるトイレが多いので、
視察などで街中に出る時はあらかじめホテルで用を足しておくなどの
「トイレマネジメント」が重要です。
中国人とは⑳ 謎の安全ピン・ピアス男
通勤時の地下鉄での話。
押し合いへし合いのラッシュで、たまたま隣に20代前半の男の子と居合わせたのだが、
彼の片耳には、2つの安全ピンのピアスが…
5cmに接近して見ているので、間違いない。普通の安全ピンだ。
ん? これはファッション?
まじまじと見ながら考えていると、車内がゆれて、もう片方の耳が見えた。
こちらにも、耳元に安全ピンが一つ。
ん?ん?
両側にするのが、おしゃれか?
それとも、実用?
職業柄何かの時に、さっと耳からはずし、使おうとしているのかも。
ということで、中国人の友達に聞いてみると、
最初にピアスの穴を開ける時、安全ピンを使って開ける人はまだいるとか。
多分、この人は最初の穴あけをそのままにして外出したのでは?ということだ。
いやぁ~、それにしても白昼堂々、安全ピン・ピアスを装うとは、
人目を気にしないのか、人目を気にしているのか
どっちなんだろう。謎だ。
中国人とは⑲ トップダウン中国ビジネスの基本
中国は超がつくほどタテ社会。
その昔、黒いカラスを見た皇帝が「あそこに白いカラスがいる!」と叫ぶと、
どこからともなく使用人が白いペンキを持って走ってきてそのカラスを白く塗った。
という話があるとかないとか。
このタテ社会感覚、現代中国ビジネスでの場でもいかんなく発揮されます。
例えば、合弁会社のある日本人社員が、ローカル社員に対してプロセス管理を行うよう、その重要性を説いたとします。
社員は話を聞きながらウンウン頷きますが、実際にプロセス管理を採り入れるそぶりは見えず、
「お話ありがとう。でも中国には中国のやり方があります。」と言わんばかり。
しかし、中国人董事長や総経理など中方のトップが一言「プロセス管理は重要だぞ。」
といった瞬間、皆が揃って「これからはプロセス管理の時代だ!」と言い始め、
その日から「いかにプロセス管理を行うか?」の大会議がアレンジされたりします。
本当にプロセス管理の重要性に気付いたわけではなく「上がそう言ったから重要。」
という、なんとも脱力な話なのですが、結果的に動いてくれるならよしという割り切りもアリ。
現場を動かしたい時は、まず中方トップと共有し、彼らの口から現場に伝えてもらうようにしましょう。
(トップとの共有が、また難しいんですけど・・・)